国際要聞
前週末の米国株は、7月雇用統計の弱さを受けて米連邦準備制度の追加引き締め観測がやや後退し、S&P500が7,757.64、ダウが54,036.93、ナスダックが26,690.62で引けた。今週は米7月CPIとPPIを控え、金利低下期待とインフレ再加速懸念が併存している。
一方で中東情勢を巡る不確実性は残り、原油は持ち直した。金利とエネルギー価格の組み合わせが、今週のグローバル株式の値動きを左右しやすい地合いが続く。
日本経済要聞
国内では、総務省の家計調査で二人以上世帯の5月消費支出が実質で前年同月比0.4%減となるなど、個人消費の回復にはなお力強さを欠く。一方で、企業収益と設備投資意欲は底堅く、内外金利差とエネルギー価格の動向が景況感の分かれ目になっている。
加えて、日銀の7月会合後は追加利上げの時期とペースを巡る思惑が再燃しており、為替と長期金利の変動が株式市場のセクターローテーションを促しやすい。
日本株式市場(前営業日終値)
8月7日の東京株式市場は、高PERの半導体関連に売りが出る一方で、バリュー株と大型エンタメ株が相場を下支えした。日経平均株価は65,606.71円と前営業日比76.55円安(-0.12%)、TOPIXは4,074.93と同19.08ポイント高(+0.47%)で終了した。
SoftBank Groupが決算を受けて軟調だった一方、NintendoやSonyが買われ、指数間の強弱差が目立った。値がさ半導体株への利益確定売りが日経平均の重しとなり、TOPIXの底堅さとの対比が鮮明だった。
外国為替(FX)市場
ドル円は1ドル=163円台後半で推移している。米金利低下期待だけでは円買いが続かず、日米金利差と投機筋の円売り圧力がなお優勢だ。
もっとも、為替介入観測と日銀の追加利上げ思惑が下値の歯止めとして意識されやすく、輸出株には追い風でも内需や輸入コスト面には警戒が残る。
債券市場
米10年債利回りは4.67%近辺で推移し、米景気減速懸念とインフレ再加速警戒の綱引きとなっている。日本10年国債利回りは2.8%前後へ切り上がり、日銀の正常化継続観測が意識されている。
国内長期金利の上昇は銀行や保険には追い風だが、高PERグロース株や不動産株にはバリュエーション面の逆風となりやすい。
大宗商品・先物市場
原油はWTIが78.88ドル、Brentが84.49ドル近辺で推移し、中東情勢を背景に高止まりしている。金は4,394ドル前後と高値圏を維持し、銅は6.60ドル近辺で底堅く、景気減速懸念と供給制約の両方を織り込む展開だ。
資源高の長期化は、日本企業では航空、電力、化学などコスト感応度の高い業種に重荷となる一方、商社や資源関連には支援材料になりやすい。
恐怖指数(VIX)と市場センチメント
VIXは前週末終値で14.90と比較的低位にとどまり、市場全体ではリスク選好が維持されている。ただし、米インフレ指標、原油、中東情勢、円相場が同時に揺れる局面では、低ボラティリティが急反転する余地もある。
ビットコインは64,800ドル台で推移し、リスク資産全般の強弱感を測る補助指標としては中立からやや強気の水準にある。
重点業界動向
半導体とAI関連は、業績そのものよりも評価水準の高さが問われる局面に入り、短期的な値動きは荒い。一方でゲームとエンタメはNintendoの好決算が示すように収益モメンタムが強く、資金の逃避先になりやすい。
金融は国内長期金利の上昇が支援材料で、メガバンクや保険には追い風が続く公算が大きい。商社と資源関連も原油高が続く限り相対優位を保ちやすい。
研究見解
目先の焦点は、日経平均よりTOPIXの相対優位が続くかどうかだ。為替の円安、国内金利の上昇、資源高という組み合わせは、指数寄与度の高い半導体値がさ株よりも、金融、商社、内需大型株に資金が向かいやすい。
短期的には米CPI通過まで指数全体は神経質になりやすいが、TOPIXが4,000台を維持する限り日本株の基調は大きく崩れていない。半導体の調整を吸収しつつ業種分散が効く展開なら、日本株全体の地合いはなお健全と判断する。
本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。
