日本市場日報|2026年3月26日

国際要聞
 国際金融市場では、中東情勢を巡る過度な警戒がやや後退し、3月25日の米国市場では株高・原油安・金利低下が同時に進んだ。米国がイランに提示した停戦案をイラン側が検討しているとの見方が広がり、S&P500は6,591.90、NYダウは46,429.49、ナスダック総合は21,929.83で引けた。一方で、ロイターは依然として戦争終結時期の不透明感が強く、相場はヘッドライン主導で乱高下しやすいと伝えている。

日本経済要聞
 日本国内では、エネルギー供給不安への対応が一段と重要テーマとなっている。高市首相は3月25日、IEAのビロル事務局長に対し、必要であれば追加の協調備蓄放出を検討するよう要請した。3月11日に決まった4億バレルの協調放出に加え、日本は共同備蓄の開放も進めており、ホルムズ海峡閉鎖の影響で湾岸地域にはなお45隻の日本関連船舶が足止めされている。エネルギー問題は価格上昇だけでなく、物流・海運・製造業のサプライチェーンにも波及している。

日本株式市場(前営業日終値)
 前営業日(3月25日)の東京株式市場では、日経平均株価は53,749.62円で取引を終え、前営業日比1,497.34円高となった。TOPIXは3,650.99で引け、前営業日比91.32ポイント高だった。ロイターによれば、中東情勢を巡る過度な懸念が和らぎ、指数寄与度の大きい半導体株や保険、非鉄金属などが相場を押し上げた。ただし、後場は買い一巡後に方向感を欠き、依然として完全な安心相場には至っていない。

外国為替(FX)市場
 為替市場では、ドル/円相場が3月25日終値ベースで159.39円となり、前営業日の158.70円から再び円安方向へ振れた。日本では原油高による交易条件悪化が意識されやすく、加えて政府・当局がエネルギー高と為替変動を一体で注視している状況にある。ロイターは、日本政府内で原油先物市場への対応も検討課題となっていると報じており、足元の円相場は金利差だけでなく、エネルギー価格の動向にも大きく左右されやすい。

債券市場
 債券市場では、3月25日の米10年債利回りは4.342%、日本10年国債利回りは2.241%だった。米国では停戦期待を背景に前日の4.392%からやや低下した一方、日本の長期金利も2.250%近辺から小幅に低下した。ただし、水準自体はなお高く、エネルギー高を通じたインフレ再燃懸念が完全には後退していないため、日米ともに長期金利は高止まりしやすい。

大宗商品・先物市場
 商品先物市場では、原油が引き続き全市場の中核テーマである。3月25日終値でWTI原油先物は91.08ドル、Brent原油先物は97.26ドルとなり、いずれも前日から下落した。ロイターによれば、米国が提示した停戦案への思惑が相場を押し下げたが、供給障害そのものが解消したわけではなく、相場は依然としてニュースフロー次第で大きく振れやすい。

 エネルギー周辺では、米天然ガス先物が3月25日に2.927ドルで引けた一方、QatarのLNG供給混乱を背景に、西側LNG輸出企業やトレーダーの追い風が強まっているとロイターは報じている。日本にとっても原油だけでなくLNG・ガスの調達環境は重要であり、電力、化学、海運、都市ガスなど幅広い業種の採算に影響を与えやすい。

 貴金属・非鉄では、金先物が3月25日に4,527.92ドル、銅先物が5.5190ドルで引けた。金は中東情勢の不透明感を背景に反発し、銅はAIサーバー、送配電網、データセンター建設など電力インフラ需要への期待が下支え材料となっている。コモディティ全体では、エネルギーは地政学、金は安全資産需要、銅はAI・電力設備投資という異なる材料で動いている点が特徴である。

 農産物では、コーヒー先物が3月25日に316.10セントで引け、高値圏を維持した。物流混乱や燃料コストの上昇はソフトコモディティにも波及しやすく、短期資金の流入対象となりやすい。暗号資産市場では、ビットコインが3月25日終値ベースで71,326.8ドルとなり、前日比で上昇したが、なお安全資産というよりはリスク選好回復局面で買われやすい高ベータ資産としての性格が強い。

恐怖指数(VIX)と市場センチメント
 米国市場の恐怖指数(VIX)は、3月25日に25.33で引け、前営業日の26.95から低下した。過度な警戒感はやや和らいだものの、水準自体は依然として高く、市場が平常モードへ戻ったとは言い難い。停戦期待が広がれば株高・原油安・金利低下の組み合わせになりやすい一方、交渉が頓挫すれば再び逆回転が起こり得るため、センチメントはなお不安定である。

重点業界動向
 半導体・AI関連では、データセンター建設と電力供給の結びつきがますます強まっている。ロイターによれば、グーグルはAIデータセンター拡張に必要な電力供給の増強が追いついていない可能性を指摘し、マイクロソフトもデータセンター建設には地域社会の理解が不可欠だと表明した。さらにSLBとNVIDIAは、エネルギー業界向けAIインフラと「AI Factory for Energy」の開発拡大を発表しており、AIテーマは半導体単体ではなく、発電、送配電、冷却、電源、データ設備まで裾野が広がっている。日本市場でも、半導体製造装置、電子部品、変圧器、電線、発電設備、データセンター関連への関心は高止まりしやすい。

 資源・エネルギー分野では、停戦期待で原油価格がいったん下がっても、日本政府が追加備蓄放出をIEAに要請するほど供給不安は根強い。したがって、INPEX、ENEOS、総合商社、海運など上流・輸送関連には引き続き相対的な支援材料が残る一方、空運、陸運、化学、電力多消費型産業は引き続きエネルギーコストの影響を受けやすい。エネルギー相場の変動が一段落しても、実需や物流の正常化には時間がかかる可能性が高い。

研究見解
 日本株式市場は、3月25日に大きく反発したものの、これは中東情勢の根本解決を織り込んだ上昇というより、原油急騰局面の巻き戻しと見るべきである。短期的には、原油価格の反落で輸送・消費関連に買い戻し余地がある一方、エネルギー供給不安が完全に解消していない以上、資源・海運・防衛・電力インフラの相対優位も残りやすい。中長期では、AIの物理インフラとしての半導体、送配電、発電、冷却、非鉄素材という構造テーマが依然有力であり、今の相場は「エネルギーショックへの耐性」と「AIインフラの成長性」を分けて捉えることが重要である。

 本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。

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