日本市場日報|2025年12月30日

国際要聞
 米連邦準備制度理事会(FRB)の政策見通しが安定し、世界的なリスク選好はやや改善している。直近では複数のFRB高官が、インフレのさらなる沈静化と経済指標の確認が進むまで、慎重な金融政策運営を続ける姿勢を示した。市場では2026年初頭の利下げ開始に対する期待が徐々に収れんし、ドル指数は高水準でのもみ合いとなり、米国債利回りは小幅に低下した。これが世界のリスク資産を下支えしている。
 主要国経済の回復は引き続き分化している。米国ではサービス業を中心に底堅さが維持されている一方、製造業の回復ペースは限定的である。欧州経済は高金利環境と財政制約の影響を受け、回復力は弱い。世界経済は依然として低成長と構造調整が並行する局面にある。

日本経済要聞
 日本のインフレは減速傾向が続いており、内需の本格回復にはなお時間を要する。コアCPIの前年比上昇率は引き続き低下し、エネルギー価格のインフレ押し上げ効果は大きく後退している。一方で、賃金上昇のペースは消費を力強く押し上げる段階には至っておらず、実質購買力の改善は2026年春闘の動向を見極める必要がある。
 企業部門では設備投資意欲が比較的堅調に維持されており、円安を背景に輸出は持ち直しの兆しを見せている。対米・対アジア向けの受注が改善し、機械や電子部品分野を中心に回復の動きがみられる。

日本株式市場(前営業日終値)
 主要株価指数(12月27日終値):
 日経平均株価は39,120円(前日比プラス0.6%)、TOPIXは2,720ポイント(前日比プラス0.5%)となった。東証グロース市場指数は小幅に上昇した。
 市場構造を見ると、輸出関連株が相対的に優位となり、自動車、機械、電子機器セクターに資金流入が見られた。金融セクターは安定した推移となり、金利見通しが落ち着く中でバリュエーション修復余地は限定的である。公益、食品などのディフェンシブセクターは相対的に軟調であった。年末特有の商い低調な環境下、機関投資家によるポジション調整が中心となり、指数は高値圏でのもみ合いが続いている。

外国為替(FX)市場
 ドル円相場は145円から147円のレンジで推移している。FRBの政策見通しが安定したことでドル高圧力は一服しているが、日米金利差の影響から円の短期的な上昇余地は限定的である。為替市場は年末を控え様子見姿勢が強く、各国中央銀行の政策見通しを軸とした値動きとなっている。

債券市場
 米国10年国債利回りは小幅に低下し、市場における将来の利下げ期待が徐々に織り込まれている。日本の10年国債利回りは日本銀行の政策許容レンジ内で安定的に推移している。世界の債券市場ではボラティリティが低下し、リスク選好は比較的安定している。短期的にはレンジ相場が続き、2026年初頭の主要中央銀行の政策判断が焦点となる。

貴金属市場
 金価格は高値圏での調整局面が続いており、ドル相場および実質金利の動向に大きく影響を受けている。短期的なリスク回避需要はやや後退しているものの、中長期的には地政学リスクや金融政策見通しが引き続き下支え要因となる。貴金属は主として資産配分およびリスクヘッジ手段としての性格が強い。

重点業界動向
 製造業および設備投資関連では、企業投資の底堅さを背景に、機械・自動化設備分野が引き続き注目される。半導体製造装置は受注改善の兆しが見られるものの、回復のスピードにはばらつきがある。
 自動車および輸出関連産業では、円安が企業収益を下支えしており、海外需要の持ち直しが業績改善につながりつつある。
 ディフェンシブおよび内需関連では、食品や公益セクターは安定しているものの、相対的な投資魅力は低下しており、消費の本格回復には所得環境の改善が不可欠である。

研究見解
 日本株式市場は短期的には高値圏での調整局面にあるが、中期的な構造要因は依然として有効である。企業統治改革の進展、資本効率の改善、海外投資家による日本株への資金配分需要は引き続き市場を支える要因となる。
 マルチアセットの観点からは、政策見通しの変化がもたらす市場変動リスクに留意が必要である。FRBの金融政策パスおよび日本銀行の正常化プロセスは、今後のボラティリティを左右する主要要因となる。
 資産配分においては、為替感応度の高い輸出型グローバル企業、設備投資や産業高度化の恩恵を受ける製造業中核銘柄に注目しつつ、ディフェンシブ資産をポートフォリオの下支えとして活用することが望ましい。

 本レポートに記載された市場データは原則として前営業日終値を使用しており、情報提供のみを目的としたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。

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