日本市場日報|2026年8月31日

国際要聞

週末の米金融市場では、FRBのケビン・ウォーシュ議長がジャクソンホール講演でインフレ抑制を重視する姿勢を改めて示し、9月利上げ観測が強まった。これを受けて米10年国債利回りは4.72%まで上昇し、ドル高圧力が残った。

米国市場の8月28日終値は、S&P500が7711.76で前日比0.25%安、ナスダック総合が26402.42で0.52%安、ダウ工業株30種平均が53559.99で0.02%安だった。株式はAI関連の強さを残しつつも、金利上昇を嫌気して上値を抑えられた。

為替ではドル円が160円近辺まで円安方向に振れた。米財務長官ベッセント氏は8月30日、最近の円相場の動きはおおむね制御可能との見方を示しており、追加の協調介入観測はやや後退したが、160円台では引き続き政策対応への警戒が必要である。

日本経済要聞

8月28日公表の東京都区部8月コアCPIは前年比1.8%上昇と、7月の1.7%から加速した。生鮮食品とエネルギーを除く指数も2.0%上昇となり、基調インフレの粘着性が意識されている。

同日公表の7月完全失業率は2.4%と前月の2.5%から低下した。雇用の大崩れは見られず、物価の粘着性とあわせて、日銀の9月会合に向けた追加利上げ観測を支える材料になっている。

日本株式市場(前営業日終値)

本文の対象日は、公開日である2026年8月31日の前営業日に当たる2026年8月28日である。日経225は66405.56円で取引を終え、前営業日の66131.98円から273.58円高、騰落率は0.41%だった。TOPIXは4146.71で引け、前営業日の4117.22から29.49ポイント高、騰落率は0.72%だった。

8月28日の東京市場は、米半導体株高の流れを引き継いでアドバンテストなどの値がさハイテク株に買いが入り、日経平均を押し上げた。一方で、TOPIXの上昇率が日経平均を上回っており、銀行、不動産、内需株にも資金が広がる地合いだったことが読み取れる。

指数主導だけでなく市場の広がりが伴った点は前向きだが、米金利上昇と円安進行が同時に進む局面では、半導体主導の相場は値動きが荒くなりやすい。31日の東京市場は、週末の米金利上昇をどこまで織り込むかが焦点となる。

外国為替(FX)市場

ドル円は31日午前時点で1ドル=160.1円前後で推移しており、8月28日の終値160.04円に近い水準を保っている。米金利高と日米金利差が依然として円売り要因であり、輸出株には追い風だが、輸入物価には逆風である。

160円台は日本当局のけん制が強まりやすい水準でもある。短期的には米雇用統計やFRB高官発言、日銀9月会合観測がドル円の変動要因になりやすい。

債券市場

米10年国債利回りは8月28日時点で4.72%まで上昇した。ウォーシュ議長の発言を受けて、米国では年内の引き締め長期化シナリオが再び意識されている。

日本10年国債利回りは8月28日に2.931%で終了し、前日の2.892%から上昇した。国内でもインフレ指標の強さと日銀正常化観測が続いており、銀行や保険には追い風だが、高PER株や金利敏感セクターには逆風になりやすい。

大宗商品・先物市場

8月28日のNY市場では、WTI原油先物が1バレル83.40ドル、Brent原油先物が89.31ドルで取引を終えた。中東情勢とホルムズ海峡の輸送を巡る思惑はなお価格変動要因だが、週末時点では利益確定売りも入り、日中では小幅安だった。

金先物は12月限が4529.90ドルで前日比2.88%安となり、米金利上昇とドル高が逆風になった。銅先物は9月限が6.659ドルで0.45%安となり、中国需要への慎重姿勢と景気減速懸念が上値を抑えている。

ビットコインは31日午前時点で7.85万ドル台で推移している。リスク資産全体の地合いは極端に悪化していないが、金利上昇局面では暗号資産にも資金流入の持続性が問われやすい。

恐怖指数(VIX)と市場センチメント

VIXは8月28日に14.43で終了し、前日比0.55%低下した。株式市場は金利上昇を警戒しつつも、パニック的なリスクオフには至っていない。

もっとも、VIXの低位安定は安心材料である一方、9月は米雇用統計、FRB会合、日銀会合を控える。イベント前のボラティリティ再拡大には注意が必要である。

重点業界動向

半導体・AI関連は、米大型テック決算の追い風を受けてなお物色対象の中心にある。ただし金利上昇局面では、期待先行の高バリュエーション銘柄ほど短期資金の振れ幅が大きくなる。

銀行・保険は、日米ともに長期金利の上昇が収益改善期待につながりやすく、TOPIX優位の背景でもある。一方で、電力、運輸、食品、外食など輸入コストの影響を受けやすい業種は、円安とエネルギー高の組み合わせに引き続き注意したい。

研究見解

足元の日本株は、AI関連の成長期待だけでなく、金利上昇を好感する金融株が相場の下支え役になっており、表面上の指数以上に相場の裾野は広い。8月28日にTOPIXが日経平均を上回った点は、その広がりを示す重要なサインである。

ただし、円安、原油高、米金利高が同時進行する場合、日本経済には輸入インフレ圧力が残る。短期的には半導体主導の上昇を追うより、金融、内需、防御的セクターを含めた資金循環の持続性を見極める局面と考えたい。

本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。

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