日本市場日報|2026年8月24日

国際要聞

前週末の米国株は反発したが、週次では長期金利上昇と中東情勢の緊張が重荷として残った。ダウ工業株30種平均は53,277.01、S&P500は7,674.37、ナスダック総合は26,180.46で引け、目先はジャクソンホールでの政策発言と米長期金利の行方が主な変動要因になっている。

米国とカナダの通商交渉は決裂し、米国は約200億ドル相当のカナダ製品に50%関税を発動した。カナダ側も報復関税を打ち出しており、北米のサプライチェーンとインフレ期待に改めて不確実性が広がっている。

中東を巡る地政学リスクは依然として高く、原油供給不安と債券利回りの高止まりが同時進行している。株式市場では景気敏感株とディフェンシブ資産の綱引きが続き、資産価格の主導権は金利と資源価格が握っている。

日本経済要聞

日本の7月全国コアCPIは前年同月比1.8%、総合CPIは同1.9%となり、エネルギー高と円安の影響が家計物価へ波及していることを示した。市場では日銀が9月会合で追加利上げに動くとの思惑が強まり、為替と債券の両市場で政策正常化を織り込む動きが続いている。

実質賃金の力強さにはなお課題がある一方、輸入物価の上昇は企業の価格転嫁姿勢を支えやすい。内需には金利上昇の逆風もあるため、今後は賃金、物価、設備投資の三点セットが日本株の物色を左右しやすい局面とみられる。

日本株式市場(前営業日終値)

本文の対象日である前営業日2026年8月21日の東京株式市場では、日経平均株価が66,016.36円で引け、前営業日の66,216.79円から200.43円安、騰落率はマイナス0.30%だった。TOPIXは4,067.29で引け、前営業日の4,059.73から7.56ポイント高、騰落率はプラス0.19%だった。

指数では明暗が分かれたが、個別では上昇銘柄数が優勢で、海運、鉱業、石油・石炭関連に買いが入った。中東経由の物流とエネルギー価格の不透明感が高いなか、運賃や資源価格の上振れ恩恵を見込みやすい業種に資金が向かった一方、金利上昇に弱い高PERグロースには選別色が残った。

外国為替(FX)市場

24日午前時点のドル円は1ドル=158円台後半で推移している。日米金利差はなお大きいが、日本の追加利上げ観測と当局の円安けん制が下値を支える構図で、一方向の円売りにはなりにくい。

短期的には米長期金利の再上昇があれば160円再接近も警戒される一方、政策発言や介入警戒が強まる局面では円の買い戻しも速い。輸出株には追い風が残るが、仕入れコスト上昇の影響を受ける内需業種は為替の振れ幅に注意が必要だ。

債券市場

米10年国債利回りは4.738%と高水準にあり、米国の長期債需給とインフレ懸念が引き続き世界の資産価格を左右している。日本の10年国債利回りも2.89%近辺まで上昇しており、日銀の追加利上げ観測と原油高を背景に国内金利の上昇圧力はなお強い。

日米ともに長期ゾーンの金利上昇は株式のバリュエーションを圧迫しやすい一方、銀行や保険には追い風となりやすい。株式投資では金利上昇を利益に変えやすいセクターと、資金調達コスト上昇に弱いセクターの見極めが重要だ。

大宗商品・先物市場

24日午前のアジア時間でWTIは1バレル86.16ドル前後、Brentは93.45ドル前後で推移している。前週に大きく上昇した反動で週明けはやや反落しているが、中東情勢と対イラン制裁観測を踏まえると依然として高値圏といえる。

金は4,675ドル前後と高止まりし、銅も6.59ドル前後と底堅い。実質金利の高止まりにもかかわらず金が強いことは、通貨価値や財政運営への警戒が市場に残っていることを示し、銅の底堅さはAI関連投資と電力・インフラ需要の強さを映している。

恐怖指数(VIX)と市場センチメント

VIXは15.13と低位にあり、前週末時点では株式市場のパニック色は限定的だった。もっとも、債券利回り、原油、地政学の三要因が同時に揺れる局面では、低いVIXがそのまま安全を意味するわけではない。

足元のセンチメントは全面的なリスクオンではなく、テーマごとの選別相場である。指数全体に追随するより、金利、資源、防衛的キャッシュフローといった軸で銘柄を選ぶ姿勢が有効になりやすい。

重点業界動向

海運は運賃上昇期待を背景に相対優位を維持しやすく、資源・エネルギー関連も原油と銅の高値圏推移が支援材料となる。銀行・保険は国内長期金利の上昇が収益改善期待につながりやすい一方、不動産や高PERグロースは割引率上昇の影響を受けやすい。

また、北米の通商摩擦再燃は自動車、機械、部材メーカーのサプライチェーン評価に波及する可能性がある。円安メリットだけで輸出関連を一括りにするのではなく、価格転嫁力と地域分散の差を見極める必要がある。

研究見解

現時点の日本市場は、円安、資源高、金利上昇という三つのマクロ要因が同時に走る局面にある。この組み合わせは指数全体には中立からやや重い一方、海運、資源、金融のように価格変動を利益へ転化しやすい業種には相対的な追い風になりやすい。

一方で、米長期金利の再上昇や中東情勢の悪化が重なると、外需主導の日本株でもバリュエーション調整が起こりやすい。短期的には指数の方向感よりも、インフレ耐性、金利感応度、需給の強さを兼ね備えた業種選別がパフォーマンスの差を広げると考える。

本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。

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