本稿は2026年7月29日公開で、日本株式市場の数値は直近の東京証券取引所営業日である2026年7月28日時点を対象としています。
国際要聞
米国市場では、7月29日公表予定のFOMC結果を前に金利見通しへの警戒が続いています。ロイター配信ベースでは、原油高の余波とインフレ再加速への懸念から、今回は据え置き予想がなお優勢ながらも利上げを完全には織り込めない地合いです。加えて、アジアでは中国勢の台頭とAI投資採算への懸念を背景に半導体株が広く売られ、東京市場にもリスク回避が波及しました。中東情勢では米国とイランの攻撃停止継続や外交再開観測を受け、原油相場は急伸局面から調整色を強めています。
日本経済要聞
日本銀行の次回金融政策決定会合は2026年7月30日から31日に予定されており、短期政策金利1.0%体制の維持有無と今後の正常化ペースが焦点です。一方、国内債券市場では財政拡張への警戒感が根強く、ロイター系報道では7月28日の新発10年国債利回りが2.78%近辺まで上昇しました。足元では物価高と金利上昇が企業調達コストと家計心理の双方に影響しやすく、政策判断前の様子見が日本市場全体に広がっています。
日本株式市場(前営業日終値)
前営業日である2026年7月28日の日経平均株価は62,364.92円で取引を終え、前営業日の64,931.19円から2,566.27円安、騰落率はマイナス3.95%でした。TOPIXは3,963.59で引け、前営業日の4,066.07から102.48ポイント安、騰落率はマイナス2.52%でした。前日の米半導体株安に加え、中国勢の競争激化観測が重なり、アドバンテストや東京エレクトロン、キオクシア関連などAI・半導体主力が指数を押し下げました。半面、内需や一部小売には相対的な底堅さがみられ、下落は主に値がさグロース株主導でした。
外国為替(FX)市場
ドル円は7月29日午前時点で1ドル163.8円前後と、円安水準での高止まりが続いています。前日のニューヨーク市場でもドルは対円で163.77円近辺と底堅く、FOMC前の米金利高止まりが円の戻りを抑えています。ユーロドルは1.137ドル台で推移しており、日米金融政策イベントを控えたポジション調整が主導する展開です。短期的には、日銀会合後のガイダンスが円相場の変動率を押し上げる可能性に注意が必要です。
債券市場
米10年国債利回りは4.616%前後で、前日比では低下したものの依然として高水準です。ロイター配信ベースでは、米債券投資家はFOMCを前に大きなポジションを避けつつ、インフレとエネルギー価格の再上振れリスクを意識しています。日本では新発10年国債利回りが2.78%近辺まで上昇しており、財政運営への不透明感と日銀会合前の警戒が債券価格の重しです。株式市場にとっては、日米とも長期金利の高止まりが高PER銘柄への逆風として残っています。
大宗商品・先物市場
原油は中東の緊張緩和期待を受けて反落し、WTIは79.26ドル、Brentは84.09ドル近辺まで下押ししました。金は安全資産需要の後退から4,036.30ドル前後へ軟化し、銅はドル高警戒とFOMC待ちのなかで6.28ドル前後と上値の重い推移です。エネルギー価格の調整は輸入インフレ圧力の一服要因ですが、価格変動が大きく、物流・化学・電力などコスト敏感業種は引き続き原油の振れに左右されやすい状況です。
恐怖指数(VIX)と市場センチメント
VIXは19近辺と、前日には19.11まで上昇しており、市場の警戒感はなお平時より高い水準です。米国株はダウが52,210.08と上昇した一方で、ナスダック総合は24,932.08と小幅安で、相場の内部ではディフェンシブ回帰とハイテク警戒が同時進行しています。ビットコインは6.35万ドル前後で推移しており、リスク資産全般に対する投資家の姿勢は強気一辺倒ではありません。
重点業界動向
最も重要なのは、半導体・AI関連に対する期待修正が日本株全体のバリュエーション見直しにつながっている点です。指数寄与度の高い半導体製造装置やAIインフラ関連が崩れると、日経平均の下げがTOPIX以上に拡大しやすい構造が改めて確認されました。一方で、原油反落は運輸、小売、外食など内需セクターにとってはマージン改善余地を広げる材料です。金融株は金利上昇の恩恵と評価損リスクが交錯し、物色の選別色が強まりやすい局面です。
研究見解
短期的な焦点は、FOMCと日銀会合を通過した後に、円相場と長期金利がどちらへトレンドを作るかです。現時点では、日本株は7月28日の急落でイベント前のリスク圧縮をある程度進めたものの、半導体主導の調整が一巡したとは断定しにくい状況です。今後数営業日は、円安維持なら輸出大型株の下支え余地が残る一方、金利上昇が続くなら高PERグロースへの戻り売りが出やすいとみられます。ポジション運営では、指数全体の反発期待よりも、業績の確度が高い内需・資本財・選別金融へ重心を寄せた見方が優位です。
本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。
