国際要聞
国際金融市場では、米国市場が5月25日のメモリアルデーで休場となる中、欧州・アジア市場では米・イラン和平期待を背景に株高・原油安が進んだ。Brent原油は一時100ドルを下回り、WTI原油も92ドル前後まで下落した。ホルムズ海峡再開を含む和平案が進展しているとの見方が広がり、エネルギー高によるインフレ懸念はいったん後退した。一方で、交渉の細部にはなお不透明感が残り、原油価格が危機前水準まで戻るには時間を要するとの見方も多い。市場全体としては、AI関連株高と原油安を好感するリスクオン地合いとなった。
日本経済要聞
日本国内では、原油安による輸入インフレ圧力の緩和期待が広がる一方、財政・金利への警戒が残っている。高市首相は、燃料費補助や物価高対策を目的とした約3兆円規模の補正予算を表明した。政府は追加国債発行を抑える方針を示しているが、財政悪化への警戒から日本10年国債利回りは一時2.8%近辺まで上昇し、その後2.70%前後へ低下した。日銀の追加利上げ観測も残っており、日本市場では「原油安による安心感」と「財政・金利上昇懸念」が併存している。
日本株式市場(前営業日終値)
前営業日(5月25日)の東京株式市場では、日経平均株価は65,158.19円で取引を終え、前営業日比1,819.12円高、率にして2.87%上昇した。TOPIXは3,943近辺で引け、前営業日比約1.29%高だった。日経平均は史上最高値を大きく更新し、原油安によるインフレ懸念の後退、米・イラン和平期待、AI・半導体関連への買いが相場を押し上げた。特に値がさハイテク株、半導体製造装置、電線、非鉄関連が強く、相場は再びリスクオン色を強めた。
外国為替(FX)市場
為替市場では、ドル/円相場が5月25日終値ベースで158.96円となり、前営業日からほぼ横ばいだった。原油安は日本の交易条件改善を通じて円の支援材料となる一方、米金利の高止まりと日銀の政策判断待ちが円高の進行を抑えている。160円接近時の為替介入警戒はなお強く、足元では158円台後半から159円台前半を中心としたレンジ推移が続いている。
債券市場
債券市場では、日本10年国債利回りが5月25日に2.70%近辺まで低下した。前週には財政悪化懸念や日銀追加利上げ観測から2.8%近辺まで上昇したが、原油安によるインフレ懸念の後退が債券買い戻しにつながった。ただし、5月26日朝には利回りが2.71%前後へ小幅に上昇しており、日銀の追加利上げ観測、補正予算に伴う財政懸念、円安リスクが金利低下を限定している。米国債市場はメモリアルデーで休場だったが、米10年債利回りは直近で4.5%台にあり、高金利環境はなお続いている。
大宗商品・先物市場
商品先物市場では、原油が大きく下落した。5月25日にはBrent原油が一時98ドル台、WTI原油が92ドル台まで下落し、直近の高値圏から大きく調整した。米・イラン和平案の進展期待により、ホルムズ海峡再開と供給正常化への期待が高まったことが背景である。ただし、原油はなお危機前水準を大きく上回っており、交渉が停滞すれば再び100ドル台へ戻る可能性も残る。
エネルギー周辺では、原油安を受けて航空燃料、ガソリン、LNG、電力コストへの過度な警戒はいったん和らいだ。日本にとっては、原油下落が輸入物価と企業コストの緩和につながりやすい。一方、LNGや海上輸送コスト、保険料には時間差があり、電力・都市ガス料金の低下がすぐに家計や企業収益へ反映されるとは限らない。
貴金属・非鉄では、金は高金利環境を背景に上値が重く、4,500ドル台で推移した。一方、銅はAIデータセンター、送配電網、発電設備、EV向け需要を背景に高値圏を維持している。原油安でリスク選好が改善する中、非鉄素材には引き続き構造需要への期待が残る。農産物ではコーヒーが271セント台まで下落し、高値圏からの調整が続いた。暗号資産市場では、ビットコインが75,000~77,000ドル台で推移し、米国市場休場の中でも高値圏を維持した。
恐怖指数(VIX)と市場センチメント
米国市場は休場だったため、VIXは前営業日水準を大きく更新していないが、世界市場では原油安と和平期待を受けてリスク選好が強まった。欧州株は中東戦争開始後の下落分を取り戻し、東京市場でも日経平均が史上最高値を更新した。もっとも、米国市場休場で流動性が薄かったため、5月26日の米国市場再開後に原油、金利、AI関連株がどのように反応するかが、短期的なセンチメントの確認点となる。
重点業界動向
足元で注目される業界は、第一にAI・半導体関連、第二に原油安メリット業種、第三に電線・非鉄・送配電関連である。5月25日の東京市場では、AI関連の投資テーマが再び鮮明となり、半導体製造装置、電子部品、データセンター関連、電線、非鉄素材に資金が向かった。AIデータセンターの拡大は、半導体だけでなく、電力、冷却、送配電、変圧器、銅・アルミなどの素材需要にも波及している。
原油安メリット業種では、空運、陸運、外食、小売、化学などにコスト低下期待が出やすい。一方、INPEX、石油元売り、総合商社など資源・エネルギー関連には短期的な売り圧力がかかりやすい。ただし、原油価格がなお90~100ドル近辺にあることを踏まえると、資源関連のテーマが完全に剥落したわけではない。今後は、原油が90ドル台で安定するか、再び中東リスクで反発するかが、セクター間ローテーションの重要な分岐点となる。
研究見解
日本株式市場は、5月25日に日経平均が65,000円台へ上昇し、再び強いリスクオン相場となった。原油安、米・イラン和平期待、AI・半導体関連への資金流入が同時に進んだことで、指数は一気に史上最高値を更新した。一方で、相場の本質は全面高というより、AIインフラ、原油安メリット、電力・非鉄関連を中心とする選別相場である。
短期的には、原油価格の安定、ドル/円の158~159円台での推移、日本10年金利2.7%近辺の動きが市場センチメントを左右しやすい。原油安は日本株にとって明確な追い風だが、財政懸念と日銀追加利上げ観測が金利面の重荷として残る。中長期では、AIインフラ、送配電、非鉄、半導体製造装置という構造テーマは維持されやすく、今後も指数水準そのものより、テーマ別・業種別の強弱を重視する局面が続くと考えられる。
本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。
