国際要聞
国際金融市場では、3月31日の米国市場で中東情勢の打開期待が広がり、主要株価指数は大幅反発した。NYダウは46,341.51、S&P500は6,528.52、ナスダック総合は21,590.63で引け、いずれも2025年春以来の大きな上昇率となった。背景には、米国がイランとの軍事的エスカレーションを数週間以内に収束させる可能性を示唆したことがある一方、ホルムズ海峡の混乱やエネルギー施設への脅威は続いており、市場は依然として「停戦期待」と「供給不安」の綱引きの中にある。
日本経済要聞
日本国内では、4月入りとともに日銀の政策判断を巡る思惑が改めて強まっている。4月1日公表の日銀短観では、大企業製造業の業況判断DIが3月にプラス17と2021年12月以来の高水準となり、非製造業もプラス36と堅調だった。2026年度の設備投資計画は前年比3.3%増となり、企業の1年先の物価見通しは2.6%、3年先・5年先はともに2.5%へ上昇している。一方で、同日公表の3月製造業PMIは51.6と拡大を維持しつつも前月53.0から減速しており、原油高、円安、物流不安が企業活動の重荷になり始めている。
日本株式市場(前営業日終値)
前営業日(3月31日)の東京株式市場では、日経平均株価は53,221.50円で取引を終えた。TOPIXは3,497.86で引けており、前日比では1.26%安だった。日経平均は反発したものの、TOPIXは下落しており、指数全体では主力大型株の一部に買い戻しが入る一方、広範な銘柄にはなお慎重な売りが残る地合いだった。3月月間では日経平均、TOPIXとも大幅安となっており、日本株はエネルギー高、円安、金利上昇の三重圧力を引きずったまま新年度入りした。
外国為替(FX)市場
為替市場では、ドル/円相場が3月31日終値ベースで158.59円となり、前日の159.73円から円高方向へ戻した。4月1日のアジア時間には158円台後半で推移しており、160円台到達への警戒はいったん後退している。ただし、ロイターによれば市場は引き続き中東情勢の不透明感と日本当局の介入警戒を同時に意識しており、ドル/円は依然として上振れ・下振れの双方に振れやすい状態にある。
債券市場
債券市場では、3月31日の米10年債利回りは4.311%、日本10年国債利回りは2.351%となった。前日比ではともにやや低下したが、水準自体は依然高い。米国では原油高によるインフレ懸念が利下げ期待を抑え、日本では円安と資源高が輸入インフレ圧力を通じて長期金利の高止まり要因となっている。したがって、債券市場は短期的な安心感があっても、基調としては依然不安定である。
大宗商品・先物市場
商品先物市場では、原油が引き続き最大の焦点である。3月31日終値でWTI原油先物は101.63ドル、Brent原油先物は103.97ドルとなり、Brentの期近物は3月に64%上昇して過去最大の月間上昇率を記録した。4月1日のアジア時間にはBrent6月物が104.63ドル、WTI5月物が102.34ドルまで再び上昇しており、停戦期待が出ても供給不安そのものは残っている。OPECの3月産油量も前月比で大幅減となっており、ホルムズ海峡の混乱が現実の供給減として表れている。
エネルギー周辺では、米天然ガス先物が3月31日に2.879ドルで引けた。貴金属・非鉄では、金先物が4,724.05ドル、銅先物が5.6448ドルで引けている。金は安全資産需要を映して上昇し、銅は景気不安の影響を受けつつも、AIデータセンター、送配電網、発電設備向けの中長期需要期待が支えとなっている。農産物では、コーヒー先物が298.35セントで引け、高値圏を維持した。暗号資産市場では、ビットコインが3月31日終値ベースで68,268.3ドルとなり、前日比2.27%高だったが、性格としては依然として高ベータ資産に近い。
恐怖指数(VIX)と市場センチメント
米国市場の恐怖指数(VIX)は、3月31日に25.25まで低下した。前日の30.61からは大きく低下しており、3月末時点ではいったん過度な恐怖が和らいだことを示している。ただし、25台は平常時と比べればなお高く、市場心理が安定を取り戻したというより、強い警戒を残したまま短期的にリスク選好が戻った局面とみるべきである。
重点業界動向
足元で注目される業界は、第一に資源・エネルギー・海運、第二にAIインフラ・電力関連である。中東情勢の悪化で原油・LNG・輸送リスクが高まるなか、上流資源、石油元売り、総合商社、海運、防衛は相対的に資金が向かいやすい。一方で、AI分野では別の意味でエネルギー問題が重要になっている。ロイターによれば、マイクロソフト、シェブロン、Engine No.1はAIデータセンター向け電源供給を巡る独占交渉に入っており、S&Pグローバルは2026年のビッグテックAI投資額を6,350億ドルと見込みつつ、高エネルギー価格がその前提を揺るがしうると指摘している。日本市場でも、半導体製造装置、電子部品、変圧器、電線、発電・送配電、冷却設備といった「AIの物理インフラ」周辺への注目は引き続き高い。
研究見解
日本株式市場は、3月31日に日経平均が反発したものの、TOPIXは下落しており、全面的な安心回復とは言い難い。短期的には、中東情勢の打開期待があるたびに株高・原油安・VIX低下の組み合わせが起こりやすい一方、供給障害や海上輸送リスクが再確認されれば、原油高・円安・金利高が再び指数全体の重荷となる。したがって、目先は指数全体の方向感を強く決め打ちするより、資源・海運・防衛のようなエネルギーショック耐性の高い分野と、半導体・送配電・発電・冷却・素材といったAIインフラの中長期成長分野を分けて捉えることが重要である。4月入り後もしばらくは、原油、ドル/円、長期金利の3点が日本市場のセンチメントを左右する中心軸になると考えられる。
本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。
