日本市場日報|2026年3月24日

国際要聞
 国際金融市場では、3月23日に中東情勢を巡る過度な緊張がいったん和らぎ、原油急落と株式反発が同時に進んだ。米国市場では、トランプ米大統領がイランの電力インフラ攻撃を5日間先送りしたと伝わったことを受け、ダウ平均は46,208.47、S&P500は6,581.00、ナスダック総合は21,946.76で引け、いずれも前日比で1%超上昇した。一方で、市場の安堵は限定的で、ロイターは24日アジア時間に「株高・原油反発・ドル不安定」という形で再びボラティリティが高まっていると伝えている。

日本経済要聞
 日本国内では、物価とエネルギー対策の両面が改めて焦点となっている。2月の全国コアCPIは前年比1.6%上昇と、日銀目標の2%を4年ぶりに下回った一方、日銀が重視する生鮮食品・燃料除く指数は2.5%上昇しており、基調インフレはなお高めとみられている。こうしたなか、日本政府は中東発の供給混乱に対応するため、民間備蓄の放出に続いて3月26日から国家備蓄原油も放出し、さらに月内に産油国との共同備蓄分の放出も始める方針を示した。

日本株式市場(前営業日終値)
 前営業日(3月23日)の東京株式市場では、日経平均株価は51,515.49円、TOPIXは3,486.44で取引を終えた。日経平均は前営業日比1,857.04円安、TOPIXも3.41%安となり、ともに年初来安値圏へ沈んだ。連休中の海外株安と原油高、そして中東情勢の長期化懸念が重なり、指数全体では幅広い銘柄に売りが出た地合いだった。

外国為替(FX)市場
 為替市場では、ドル/円相場が3月23日終値ベースで158.44円となり、3月19日の157円台からは再び円安方向へ戻したものの、160円手前では上値の重さも意識された。日銀の追加利上げ観測が円の下支え要因となる一方、原油高と輸入インフレ懸念、さらに政府のエネルギー市場対策観測が為替にも波及しており、通貨市場は依然として政策と商品市況の両方に振られやすい。

債券市場
 債券市場では、3月23日の米10年債利回りは4.336%、日本10年国債利回りは2.290%だった。週初には原油高を背景としたインフレ再燃懸念から世界的に金利上昇圧力が強まっていたが、23日の米国市場では中東情勢の一時的な緩和期待から米金利は反落した。ただ、日本では日銀のタカ派的なコミュニケーションが残っており、長期金利はなお高止まりしやすい。

大宗商品・先物市場
 商品先物市場では、原油の変動が引き続き市場全体の中心にある。3月23日終値でWTI原油先物は89.47ドル、Brent原油先物は95.92ドルとなり、前営業日比でそれぞれ9.28%安、10.39%安と急反落した。もっとも、24日アジア時間にはBrentが100.94ドル、WTIが89.84ドルへ持ち直しており、供給不安が解消したというより、軍事的エスカレーションの一時先送りで過熱がいったん巻き戻された構図である。

 貴金属・非鉄では、金先物が3月23日に4,475.41ドル、銅先物が5.4938ドルで引けた。金は地政学リスクの受け皿でありつつ、直近では実質金利や流動性確保の影響も受けやすく、値動きは荒い。銅は前日比3.45%高と反発しており、AIサーバー、送配電網、データセンター建設など電力インフラ需要への中長期期待が引き続き下支え要因となっている。

 エネルギー周辺では、米天然ガス先物が3月23日に2.897ドルで引けた。原油急落局面でもガス価格の変動率は大きく、日本にとってはLNGや発電燃料の調達不安が依然無視できない。日本政府が備蓄放出を急ぐ背景には、原油だけでなくガス・電力コスト全体への波及を抑えたい意図があるとみられる。

 農産物では、コーヒー先物が3月23日に307.00セントで引け、高値圏を維持した。物流混乱や燃料コストの上昇がソフトコモディティにも波及しやすく、コーヒーのようなニュース性の高い農産物は引き続き短期資金の対象になりやすい。暗号資産市場では、ビットコインが3月23日に70,908.5ドルで引け、前日比4.47%高だったが、依然として安全資産というよりリスク選好回復時に買われやすい高ベータ資産としての性格が強い。

恐怖指数(VIX)と市場センチメント
 米国市場の恐怖指数(VIX)は、3月23日に26.15で引け、前営業日の26.78からはやや低下した。原油急落と株式反発を受けて過度な恐怖は和らいだが、水準自体は依然高く、通常時に比べれば警戒感はなお強い。市場心理は「全面安心」に戻ったわけではなく、中東関連のヘッドライン次第でリスクオンとリスクオフが急速に入れ替わる局面が続いている。

重点業界動向
 足元の注目業界は、第一に資源・エネルギー、第二にAIインフラ関連である。エネルギーでは、原油の急落を受けて欧米市場でエネルギー株が売られる一方、航空・旅行関連が買い戻された。日本株でも、原油が100ドル超で高止まりするシナリオではINPEX、ENEOS、総合商社、海運などが相対的に強くなりやすいが、足元のように原油が急反落する局面では、空運や消費関連の反発余地も意識されやすい。

 AI関連では、NVIDIAが2027年末までにAWSへ100万個のGPUを供給する計画を示したほか、ソフトバンクと米AEPがオハイオ州で巨大なAI向けデータセンターとガス火力電源を整備する計画も報じられた。加えて、グーグルもAI向け電力確保の必要性を強調しており、AI投資の焦点は半導体そのものだけでなく、変圧器、電線、発電設備、ガス、冷却、送配電といった「AIの物理インフラ」へ広がっている。日本市場でも半導体製造装置、電子部品、電力設備、素材株への関心は引き続き高い。

研究見解
 日本株式市場は、3月23日に大きく売られたものの、相場の本質は単純な全面弱気ではなく、「中東発のエネルギーショック」と「AI・電力インフラ投資の構造成長」が同時進行している点にある。短期的には、原油が23日に急落しても24日には再反発しているように、相場は依然ヘッドライン主導で不安定であり、指数全体の方向感は読みづらい。したがって目先は、資源・海運・防衛・電力インフラと、原油反落の恩恵を受けやすい空運・消費関連の相対比較が重要になる。一方で中長期では、AI向けデータセンター、送配電、発電、冷却、非鉄素材といった周辺分野の成長テーマは維持されやすく、ボラティリティの高い局面ほどテーマの峻別が求められる。

 本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。

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